COLUMN

月60時間超の上乗せ残業代を「休み」で返す
——代替休暇のしくみ

2026年11月4日|マミ社会保険労務士事務所(北九州)

こんなお悩みはありませんか?

「繁忙期に月60時間を超える残業が出て、50%の割増が重たい」
「お金より、休みで体を休めてもらいたい」

そんなときに使える仕組みが「代替休暇(だいたいきゅうか)」です。今日は、その骨組みだけを短くまとめます。

代替休暇は「上乗せ分」を休みに代える仕組みです

月60時間を超えた時間外労働には、50%以上の割増が必要です(2023年4月1日からは中小企業も同じです)。
このうち、ふだんの25%から上乗せになった分(25%)を、お金のかわりに有給の休みで返せる、というのが代替休暇です。

「使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。」

【出典】労働基準法 第37条第3項(e-Gov法令検索)(2026年11月4日確認)

ポイントは3つです。

ポイント中身
協定が必要社員の過半数代表など(労働組合があればその組合)と、書面で協定を結ぶ
年休とは別もの年次有給休暇を使うことはできない
取ったときだけ社員さんが実際に休んだ分に対応する時間だけ、上乗せの支払いがいらなくなる
取るかは社員さんが決める会社が一方的に「休みで返す」と決めることはできない

取るかどうかは社員さんの判断による、と厚生労働省の通達(平成21年10月5日 基発第1005001号)でも示されています。
つまり、協定を結んでいても、休みを取らなかった社員さんには、いつもどおり50%以上で払います。また、25%の部分は、休みを取っても取らなくても支払いが必要です。

何時間分の休みになるのか(計算例)

協定に書くことは、労働基準法施行規則 第19条の2で決められています(2026年11月4日確認)。

協定に書くこと決まり
休みの時間数の出し方60時間を超えた時間 ×「換算率」(50%と25%の差=25%)
休みの単位1日または半日
取れる期間60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内

なお、この「60時間」には、法定休日に働いた時間は入れません(厚生労働省リーフレットより)。

たとえば、ある月の時間外が76時間だったとします。

計算時間
60時間を超えた分76 − 60 = 16時間
休みになる時間16時間 × 25% = 4時間

所定労働時間が8時間の会社なら、4時間=半日分の休みになります。半日分の休みを取ってもらえば、その16時間について上乗せの25%を払わなくてよくなる、という計算です。
※割増率を法律より高く決めている会社では、換算率も変わります。
※時間数が半日や1日にぴったり合わないとき(たとえば70時間なら2.5時間)は、ほかの有給の休暇と合わせて半日・1日にする定め方もあります。半日を何時間とするかも、会社の決め方しだいです。

体の面から見ると

月60時間を超える残業が続くと、睡眠が削られ、肩や腰がこわばりがちになり、気持ちにも余裕がなくなります。
厚生労働省のリーフレットでも、代替休暇は「健康を確保するため」の仕組みとして紹介されています(厚生労働省リーフレット・2026年11月4日確認)。

ヨガのレッスンでも、繁忙期のあとの方ほど、呼吸が浅くなっているのを感じます。お金で返すだけでなく、体を休める時間で返すという選択肢があることを、知っておいていただけたらと思います。

まとめ

① 代替休暇は、月60時間超の割増のうち「上乗せ分」を有給の休みに代える仕組み
② 使うには労使協定が必要。時間数の出し方・単位(1日か半日)・取れる期間(2か月以内)を決める。常時10人以上の会社は就業規則への記載も忘れずに
③ 休みを取らなかった社員さんには、50%以上の割増をそのまま払う

本記事は2026年11月4日時点の情報に基づいています。出典:労働基準法 第37条第3項、労働基準法施行規則 第19条の2、平成21年10月5日 基発第1005001号、厚生労働省リーフレット「2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」。協定の書き方や給与計算への反映は、会社の状況によって変わります。個別のご判断は無料相談でどうぞ。

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