COLUMN

健康経営優良法人とは?
——メリット・デメリットと、申請の時期【中小企業向け】

2026年7月11日|マミ社会保険労務士事務所(北九州)

「健康経営優良法人って、うちみたいな小さな会社に関係あるの?」
「申請すると、何かいいことがあるの?」

最近、経営者の方からこの質問をいただくことが増えました。 結論から言うと——数名の会社でも申請でき、採用と定着に効く「国のお墨付き」です。 ただし、向き・不向きと、知っておくべき手間もあります。今日は良いところも大変なところも、正直にお伝えします。

健康経営優良法人とは——なぜ「経産省」の制度?

健康経営優良法人とは、社員の健康づくりに戦略的に取り組んでいる会社を国が認定する制度です。 大企業向けの「大規模法人部門」と、中小企業向けの「中小規模法人部門」があり、業種は問いません。

営業の場で意外とよく聞かれるのが、「健康のことなのに、なぜ厚生労働省ではなく経済産業省の制度なの?」という質問です。

答えはシンプルで、この制度が健康を「労働者保護」ではなく「企業の経営戦略」として扱っているからです。 社員の健康は、会社の生産性や業績につながる経営資源——という発想なので、産業を所管する経産省が制度を設計しています (認定自体は「日本健康会議」という官民連携の組織が行います)。

厚生労働省健康診断やストレスチェックの義務など、守らなければならない最低ライン(労働安全衛生法)
経済産業省義務を超えて健康に投資する会社を評価する、上乗せの顕彰(健康経営優良法人)

つまり「法律を守っているのは当たり前。その先まで取り組んでいる会社ですよ」と国が示してくれる仕組みです。

申請するメリット

① 採用で「見える差」がつく

人が採れない時代、求職者は会社を選ぶとき「社員を大切にする会社か」を見ています。 認定を受けると認定ロゴマークが使えるようになり、求人票・自社HP・会社案内で「国が認めた健康経営の会社」と示せます。 言葉で「うちは社員を大切にしています」と言うより、ずっと伝わります。

② 金融機関・自治体の優遇が受けられることがある

金融機関の融資金利や保証料の優遇、自治体の入札での加点など、認定企業向けのインセンティブを設けているところがあります (内容は金融機関・自治体によって異なります)。

③ 社員の定着・生産性への投資になる

認定のために取り組む内容——長時間労働の対策、健診の受診促進、メンタルヘルス対策、運動機会の提供——は、 そのまま離職を減らし、不調による生産性低下を防ぐ取り組みです。認定はゴールではなく、良い会社づくりの「通過点」です。

④ 取り組みが「見える化」される

申請では自社の健康課題と施策を整理して書き出します。この過程自体が、 「うちの会社、何ができていて何が手つかずか」を棚卸しする良い機会になります。

申請するデメリット(正直に)

  • 毎年の更新が必要——認定は1年ごと。一度取って終わりではありません
  • 事務の手間がかかる——申請書類の作成に加え、施策の「実績」が必要。書類を書く前に、実際の取り組みが要ります
  • 申請料がかかる——中小規模法人部門で16,500円(税込・2026年7月時点)
  • 売上に直結はしない——認定を取っただけでお客様が増えるわけではありません。採用・定着・信用への「じわじわ効く投資」です
  • 形だけだと逆効果——ロゴだけ掲げて中身が伴わないと、社員がいちばん先に気づきます

申請の時期——例年のスケジュール

中小規模法人部門は、例年おおむね次の流れです(年度により変わるため、正確な日程は ACTION!健康経営 公式ポータルでご確認ください)。

春〜夏加入している保険者(協会けんぽ等)の「健康宣言」事業に参加し、健康づくりの施策を実施して実績をつくる
8月中旬〜10月中旬ごろ申請受付(ポータルサイトから)
翌年3月ごろ認定発表。認定期間は1年間(毎年更新)

大事なポイントは、申請書を書き始めてからでは間に合わないということ。 申請には健康宣言への参加と施策の実績が前提になるため、「来年とりたい」なら今から準備を始めるのがちょうど良いタイミングです。

まとめ——「うちに向いている?」の目安

  • 採用・定着に悩んでいる → 向いています。求人での差別化にいちばん効きます
  • すでに健診や残業対策に取り組んでいる → 向いています。今の取り組みを「見える化」するだけで届く可能性があります
  • まだ健診の受診率も把握できていない → まずは土台づくりから。認定はその先に自然についてきます

当事務所は、労務の整備(社労士・衛生管理者)と運動機会の提供(ヨガ講師)の両方を1人で支援できるのが強みです。 詳しくは健康経営×ヨガのページをご覧ください。

※ 本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説です。申請要件・日程・申請料は年度により変更されるため、最新情報は 公式ポータルをご確認ください。

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