COLUMN
「固定残業代」って何?
——払っていても、残業代がいらなくなるわけではありません
こんなお悩みはありませんか?
「毎月“固定残業代”を払っているから、残業代の計算はしなくていいのよね?」
「求人票に“みなし残業込み”と書いているけれど、それで足りている?」
今日は、よく耳にする「固定残業代(みなし残業代)」を、短くご紹介します。
固定残業代とは
固定残業代とは、あらかじめ決めた時間分の残業代(休日や深夜の分を含めることもあります)を、実際の残業時間に関係なく毎月決まった額で払う仕組みのことです。
| 内容 | |
|---|---|
| 例 | 「月20時間分の時間外手当として、毎月○万円を支給」 |
| よくある呼び方 | 固定残業代、みなし残業代、定額残業代など |
| 法律との関係 | 労働基準法の条文に「固定残業代」という言葉はなく、割増賃金(残業代)の払い方の一つ。ただし求人を出すときの書き方にはルールがあります |
もとになる残業代のルールは、労働基準法にこう書かれています。
【出典】労働基準法 第37条第1項(e-Gov法令検索)(2026年11月2日確認)
※ 省略したただし書きには、1か月60時間を超えた分は5割以上の率で計算する、と書かれています。
固定残業代は、この割増賃金を「あらかじめ決まった額で払う」やり方です。ですから、法律で計算した残業代より少なければ、その差額は別に払う必要があります。
厚生労働省のQ&Aでは、気をつけることとして、おもに次のような点が挙げられています(厚生労働省「スタートアップ労働条件」Q&A・2026年11月2日確認)。
- 基本給などと、固定残業代の部分をはっきり見分けられるようにしておく(分けられていないと、固定残業代として認められないおそれがあります)
- 法律で計算した残業代が固定残業代を上回ったら、差額を払う
- 求人を出すときは、固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代の時間数と金額の計算方法、その時間を超えた残業・休日・深夜の分は追加で払うことを示す
最低賃金の計算では「入れない」お金です
もうひとつ見落としやすいのが、最低賃金との関係です。最低賃金を満たしているかを確かめるときは、残業代を計算に入れません。
固定残業代は残業に対して払うお金ですから、ここに入ります(休日や深夜の割増分も、同じ条文の第2号・第3号で計算に入れないと決められています)。「固定残業代込みの月給」で最低賃金を確かめてしまうと、実は下回っていたということが起こりえます。月給の社員さんの確かめ方は、下の「今週の、くわしい記事」でご紹介しています。
中小企業の現場では
総務・人事の仕事をしていたころ、固定残業代は「手当の名前だけが残っていて、何時間分なのか誰も説明できない」という形で出会うことがありました。
まずは雇用契約書と給与明細に「何時間分で、いくらか」が書いてあるかを一度見ていただくだけでも、ずいぶん安心につながります。
まとめ
① 固定残業代は、あらかじめ決めた時間分の残業代を定額で払う仕組み
② 法律で計算した残業代のほうが多ければ、差額を払う(労働基準法 第37条)
③ 最低賃金を確かめるときは、固定残業代を除いて計算する
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