COLUMN
「特定最低賃金」って何?
——県の最低賃金とは別に、業種ごとの最低賃金があります
こんなお悩みはありませんか?
「最低賃金は、県の金額だけ見ておけばいいんでしょう?」
「“特定最低賃金”という言葉を見かけたけれど、うちに関係あるの?」
じつは最低賃金には、県ごとの最低賃金のほかに、業種ごとの最低賃金があります。今日は、この「特定最低賃金」を短くご紹介します。
特定最低賃金とは
最低賃金には、2つの種類があります。
| 種類 | どんなもの |
|---|---|
| 地域別最低賃金 | 都道府県ごとに決まる。業種を問わず、その県のほぼすべての働く人が対象 |
| 特定最低賃金 | 「一定の事業若しくは職業」ごとに決まる(最低賃金法 第15条)。労使の申し出をもとに、一部の業種だけに設けられる。産業別最低賃金とも呼ばれる |
特定最低賃金を決めたり改正したりするときは、その時点の地域別最低賃金を上回る金額にしなければならないと法律で決まっています(最低賃金法 第16条)。
福岡県では、福岡労働局のページに、次の5つの業種が載っています(2026年11月1日確認)。
- 製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業
- 電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業
- 輸送用機械器具製造業(船舶製造・修理業、舶用機関製造業などは除く)
- 百貨店、総合スーパーマーケット
- 自動車(新車)小売業
金額と効力が生じる日は、福岡労働局「福岡県の最低賃金」でご確認ください。どの業種にあたるかは、事業所ごとの主な事業で判断します。北九州には製造業の会社が多いので、「うちの業種が入っていないか」を一度見ておくと安心です。
なお、対象の業種でも、年齢や仕事の内容などによって、特定最低賃金ではなく県の最低賃金が適用される方もいます。くわしくは福岡労働局の案内でご確認ください。また、派遣社員さんは、派遣先の会社の業種で特定最低賃金を考えます(最低賃金法 第18条)。
両方あてはまるときは「高いほう」
では、県の最低賃金と特定最低賃金の両方にあてはまる社員さんは、どちらで考えればいいのでしょうか。法律にはこう書かれています。
【出典】最低賃金法 第6条第1項(e-Gov法令検索)(2026年11月1日確認)
つまり、金額の高いほうを守るということです。
ここで気をつけたいのが、改定の時期のずれです。特定最低賃金は決めた時点では県の金額を上回っていても、そのあと県の最低賃金が先に上がって、追い越してしまうことがあります。
たとえば福岡県では、百貨店・総合スーパーマーケットの特定最低賃金は1時間1,065円、県の最低賃金は1時間1,114円です(2026年11月1日に福岡労働局のページで確認)。このときは、高いほうの県の最低賃金を守ることになります。
「特定最低賃金の金額さえ守っていれば大丈夫」とは限らないので、県の最低賃金が変わる秋と、特定最低賃金が変わる冬〜春の年2回、両方の金額を並べて見比べるのがおすすめです。
中小企業の現場では
総務・人事の仕事をしていたころ、最低賃金の改定は「県の金額が変わったら時給を見直す」という一本の流れで回していました。
業種別の金額は、ふだん目にしないぶん、確認が抜けやすいところです。給与のチェック表に「特定最低賃金の対象かどうか」を1行足しておくだけで、毎年の見落としを防げます。
まとめ
① 最低賃金には「県ごと」と「業種ごと(特定最低賃金)」の2種類がある
② 両方にあてはまるときは、金額の高いほうを守る(最低賃金法 第6条第1項)
③ 福岡県の対象業種と金額は、福岡労働局のページで年2回確かめる
「うちの業種は特定最低賃金の対象?」というご質問も、30分の無料相談でお受けしています。
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